インドでのベジタリアン体験

まだ独身だった30代の頃、北インドの町、リシケシュを中心に8か月ほど滞在していたことがあります。当時の私はこの地でアシュラムに滞在し、日々ヨーガや瞑想を実践していました。「アシュラム」というのは、日本でいう「禅道場」のような修行の場で、食事付きで宿泊しながら修行に集中することができます。

アシュラムでの食事は、外で食べる料理よりもスパイス加減がマイルドに調理されているようでした。 朝食には「ポリッジ」と呼ばれる甘いお粥を食べることが多く、最初の頃は甘いお粥に違和感を感じ気持ち悪いと思っていたのですが、何日か食べているととても美味しいと感じるようになりました。昼食や夕食では「チャパティ」を主食に、数種類のスパイス料理、ダール(豆のスープ)、サブジー(野菜の蒸し煮)等を食べるといった感じです。食堂では床に輪になって座り食事をします。給仕の人が食べたい量だけ器に入れてくれます。

外の食堂に行けば、当時は確か、ターリーが15~20ルピーで食べられました。日本円で40~50円くらいでした。

実はここリシケシュでは肉や魚は食べられません。リシケシュや近隣のハリドワールはヒンドゥー教の聖地なので、法律で肉・魚・卵・酒等の提供が禁じられているんです。どこの店に行っても肉や魚は手に入りません。この町に住んでいる人達は皆ベジタリアンです。

半年以上もの間、肉も魚も卵も食べられず飲酒もできませんでしたが、私の場合、全く苦痛はありませんでした。むしろ、毎回の食事がとても楽しみだった方です。日本人から見れば、インドの食事は毎食カレーですけれど、私は全然飽きることはありませんでした。実際のインド料理(ベジ)は非常にバラエティーに富んでますからね。「カレー」の一言では語り尽くせないです。

たまに、デラドゥンやデリーに行ったりすると、普通に肉も魚も卵も食べられるけど、私の場合、特に肉とか食べたいと思ったこともなく、インド滞在中はずっとベジで通しました。

こんな過去のベジ体験があるから、ベジタリアンヴィーガンに違和感はないし、苦行とか我慢だとも思っていません。むしろベジタリアンの方が私にとっては自然に感じています。

レストランに足を運ぶということ

より上のベジタリアンヴィーガンを目指しているとはいえ、今現在の私は、食材の質にもかなりこだわっているので、四足が入っていなければOKというわけではなく、たとえプラントベース100%の食材であっても、口にしないものが多々あります。

まず、口に入る食材については、基本的に国産、または有機を選ぶようにしています。国産であっても、有機、減農薬、低農薬があればできる限り選択します。100%安全なものとまではなかなか難しいですが、できる限りの努力をしています。

私が国産や有機にこだわる理由は、外国産の農産物に散布されている農薬等の薬剤を避けるためです。国産が必ずしも安全というわけではありませんが、少なくともポストハーベスト農薬は取り込まずに済みます。日本の法律では、添加を禁じられている農薬が、外国からの輸入品には農薬を添加しても普通に販売できているというおかしな実情があるんですね。

中でも特に重要だと思っているのが、小麦粉製品と大豆製品。穀物の内でも米については、意識しなくても国産がほとんどなのですが、小麦粉製品や大豆製品については、食べる頻度が比較的高いにもかかわらず、国産の割合が少なくて、安価な物を選んでしまうと、ほぼ全てが外国産ということになってしまいます。

以前に、大量の小麦粉が入ったタンクの中にポストハーベスト農薬をこれでもかというほど噴霧している映像を見たことがあります。驚愕ですよ。こんな小麦粉で作られたパンやパスタを日常食べていると考えたらまじゾッとします。

実はこれが、自分が過去に悩まされてきた花粉症やアレルギー症状の原因だったのではないかと疑っています。

中学の給食では、毎日のようにパンと牛乳がメインでした。米の消費率が今よりもかなり高かった昭和のあの時代(1980年代)。今思うと、毎日パンというのもかなり不自然だったし、使われていた小麦粉の質も今となっては全く分かりません。

そう考えると、私の世代は、小さい時分から気付かないうちに、長期に渡ってちょっとずつ、ポストハーベスト農薬を身体に取り込んでいた可能性が高いのではないでしょうか。

パンやパスタ、スイーツなど、小麦粉で作られた食品はけっこう多いですが、このルールのおかげで、現在の私が口にする危険な小麦粉製品はかなりセーブされていると思います。 

実際問題として、外でパスタやピザを食べたいと思っても、国産や有機の小麦粉使用を謳っている飲食店ってほとんどないんですよね。外食でのイタリアンはなかなか難しいです。うどんは比較的国産を謳っているチェーン店があるので利用しやすいですが。

四足の縛りで選択できるレストランは確かに減りましたが、私の場合、それ以上に、国産小麦・有機小麦の縛りで選択できるレストランが限られてきます。

レストランに足を運ぶということは、そのレストランに一票を投票していることだと私は思っています。選挙と一緒で、投票数が多い店は住民に支持されているということですから、ますます発展していくだろうし、投票数が取れない店はそのうち淘汰されていく。

価格の安さよりも食の安心安全を優先してレストランを選択する人がこれから増えていけば、どのレストランも安全安心な食材メニューだけを当然のように提供してくれるようになるはずです。

一人一人の日々の選択には将来を変えていくパワーが宿っているはずです!

安全安心な本来の自然な食品が当然の世の中になるよう、そんなレストランを応援するためにも地道に投票していきます。

自分の世界がガラッと変わった!

ポーヨベジタリアンになって、2か月が経ちました。四足を食べたいという気持ちは今ではもう全くないので、特に我慢をしているわけではありません。

今振り返ってみると、この2か月間で具体的に変化したことといえば、

  • 外食で利用できるレストランが減った
  • 注文できるメニューが減った
  • 大豆製品や魚を食べる頻度が増えた
  • 食事や飲み会に誘われた時、肉は食べられないと伝える必要がでてきた

といったところですが、食事の選択肢が減って、逆によかったと思っています。

今までが選択肢多すぎで、しかもレストランやチェーン店の宣伝とかお得情報に多々振り回されていたので、そこからかなり解放された今、気持ち的には身軽で快適です。

それに、職場の飲み会などもあまり行きたい方ではないので、断る口実にもなって逆に好都合かもしれません。

一緒に会食をするのであれば、同じ世界に住んでいる人や縁ある人たちと行った方が自然だし心から楽しめますからね。

具体的な変化はこんなところですが、内面の変化というか、最大の収穫は、自分の住んでいる世界がガラッと変わったことですね。2か月前にポーヨベジタリアンになると決断して本当によかったと思っています。

自分が今現在住んでいる世界では、動物(哺乳類)はあくまで地球上で一緒に暮らす仲間であって、食物でも物でもない。もっともっと動物たちとコミュニケーションを取ってお互いが快適に暮らせる世界を作っていけたらよいのにとさえ思っています。動物たちと協力してこの星(地球)をさらによい星にしていきたい。

今はまだポーヨベジタリアンですが、さらに上位のベジタリアンヴィーガンも私は視野に入れています。将来的には自分の世界に鶏や魚も加わってくれるものだと思っています。

小麦粉製品の問題点

前々回に書きましたが、昨年の5月まで私が実践していた糖質制限食(ロカボ食)過程で食べる量が減った食材を考えた時に、まず思い浮かぶのがパンや麺類などの小麦粉製品です。

当時の昼休みの食事は、職場近くのスーパーで、サラダボックスと惣菜を買っていました。サラダはドレッシングの類を使用せず、惣菜の味でサラダを食べていました。ごはん、パン、麺等の主食系は一切買わず、惣菜は、アジフライ、イカフライ、から揚げ、フライドチキン、コロッケ、メンチ、鯖缶等、その日の店頭に並んでいる中で食べたいと感じたものを選んでいました。まぁ衣に小麦粉は使われていますが、一食の糖質量が20~40g程度に抑えられる限りはよしとしていました。

夜は家で普通にごはんを食べていましたが、主食は基本、玄米ごはんでした。玄米食に比べてGI値の高いパンやうどん、パスタはできるだけ避けるようにしていたので、必然的に小麦粉製品を食べる量はかなり減っていきました。

そして花粉症から解放された理由として、まず真っ先に思い浮かぶのは糖質自体ではなく、この「小麦粉」なんですよね。

 

以前に読んだ、ジョコビッチの著書「ジョコビッチの生まれ変わる食事―あなたの人生を激変させる14日間プログラム」で、小麦粉に含まれるグルテンが現代人に様々な問題を引き起こしていることは知っていました。ただ、自分のこととしてはあまり深く考えてはいませんでした。今回思いもかけず花粉症から解放されたので、もしかしたら小麦?と気になったわけです。

ただ調べてみると、小麦粉の問題はグルテンだけではなく、他にもかなり危険な問題があることに気づきました。

 

小麦粉製品を食することの問題は3つあると思います。

 

  1. 1960年代に開発された矮性小麦
  2. プレハーベスト
  3. ポストハーベスト

 

①私たちが現在食している小麦の品種は矮性小麦と言って1960年代に遺伝子操作により開発されたものなのですが、これは元々自然界にあった人類が伝統的に食していた小麦とは遺伝子の構造が全く異なるとのことなのです。この矮性小麦(半矮性小麦も含)は生産性が飛躍的に高いということで爆発的に広められ、現在世界中の小麦の約99%を占めているとのことです。そしてこの矮性小麦のグルテンが様々な健康問題を引き起こすとのことなのです。

アメリカでは小麦収穫の7~10日前に「グリフォサート」等の除草剤を散布し小麦を人工的に枯らせ、より早く簡単に収穫する手法を取っています。自然に枯れるのを待つ自然な収穫法ではビジネスとして成り立たないとのことでしょう。

③小麦を日本に輸出する際に、虫が湧かないように使用する農薬のことです。小麦に対しては主に有機リン系の殺虫剤が使用されているようで、レルダン、マラチオン(マラソン)、フェニトロチオン(スミチオン)の残留農薬がかなりの頻度で検出されているそうです。

 

現在、日本で出回っている小麦の約85%は海外(主にアメリカ、カナダ、オーストラリア)からの輸入です。何も意識せずにパンやパスタを口にすれば、おそらくそれは上記3つの危険性を身体に取り込んでいることになると思います。

矮性小麦のグルテンについては、小麦を食する限りは付いてまわるので、現状では避けようがないかもしれません。世界で1%ほどしか出回っていない古代小麦を入手できればよいのですが。

でも、国産小麦を選ぶだけでも、少なくともポストハーベストの害は免れることができます。また有機や減農薬、無農薬の表示があれば、使用されている農薬の種類や量を確認することもできます。

プレハーベストやポストハーベスト農薬に汚染されたパンやパスタ、うどん等を子供の頃から知らず知らずのうちにずっと食べてきたことを思うと、本当にぞっとします。

花粉症の症状から解放されたのは、この辺りに原因があるのではと私は疑っていますが、科学的な根拠がある訳ではありません。

現在、小麦製品はできるだけ控えていますが、時々は食べています。パンやうどん、パスタを食べる時は基本、「国産小麦」有機JAS認証」の表示があるものだけをチョイスしています。

不要な化学物質・有毒物質を取り込まないようにするには、日常生活での努力はある程度必要です。

独自ルールでの食養

令和5年6月から始めた独自ルールの食養について、具体的には、どう切り替えたのかというと、

  1. 勤務日の昼休みは基本的に、玄米ごはん(150g)、サラダボックス、サバ缶(190g前後)の3つ。家で用意して持っていく。用意できないときは、玄米ごはんの代わりに国産豆腐。サバ缶の代わりにイワシ缶等。
  2. サバ缶については、国産サバの国内生産品を選ぶ。日本産のサバ使用を謳っていても原産地が外国になっているものは買わない。
  3. 糖質量を計算する際にでんぷん質(穀物やイモ)の量は除外する。
  4. 外国産の野菜・果実は避け、国産またはJAS認証を選択する。国産の中でも減農薬やオーガニックをできるだけ選ぶ。
  5. 外国産の肉(牛・豚・鶏)は避け、国産を選ぶ。できるだけ、抗生物質ホルモン剤不使用の表示があるものを選ぶ。
  6. 玉子はできるだけ「平飼い」や「有精卵」を選ぶ。
  7. 小麦製品や大豆製品は、小麦粉や大豆の産地を必ず確認し、国産またはJAS認証でなければ買わない。他の穀物製品も同じ。
  8. その他、不自然な食品、超加工品、化学物質、人工的な添加物、人口甘味料etc.等は極力避ける。

まあ、糖質制限食(ロカボ食)からはガラッと変わってしまいましたね。これらは、私自身の直観で決めたルールなので、科学的根拠とか元になっている理論とかがあるわけではありません。

ルールの変更で、食費は確実に高くなりました。安心安全な食材を生産するには、それなりの見合ったコストがかかっているんですね。それにしても、輸送費が余計にかかる外国産食材の方が安いって、なんだかおかしくないですか?

糖質制限から独自ルールでの食養へ

前回、糖質制限 のみの食養は既に卒業しており、令和5年6月からは独自のルールで食養していると書きました。

 

数年間、緩めの糖質制限を実践してみて、私が得たベネフィットは以下のようなものでした。

  • 花粉症から解放され、薬を一切飲む必要がなくなった。
  • 体重が落ち、適正体重をキープできるようになった。
  • 以前に比べ、体感がとても軽やかで気持ちよい状態になった。
  • 血糖値が安定した。

糖質制限食(ロカボ食)の実践で確かに私の心身は大きく変わりました。ただ同時に、糖質制限に対していくつかの違和感や疑問も感じるようになりました。

  • 「玄米ごはん」も「果糖ブドウ糖液糖」も同じ糖質量(g)だけで比較することに対する違和感。食材の質は全く考慮しなくてよいのだろうか。
  • 日本で伝統的に食べてきた主食(米)を避けなければいけない違和感。糖質量を抑えようとするとどうしてもご飯が食べられない。
  • 肉食量が増えてしまう違和感。肉は本当に健康によいのだろうか。
  • 花粉症から解放されたのは本当に糖質制限のおかげなのか。

ざっとこんな感じです。

1960~1970年代、今よりもずっとコメの消費率が高かった時代ですが、糖尿病患者は今よりもはるかに少なかったし、病的な肥満者なんてほとんどいなかったですよね。そう考えると、米と糖尿病を直接リンクさせづらいし、米を糖質量だけで判断するのはちょっと違うのではと私は思いました。

また、糖質制限を実践していて食べる量が特に減ったものが、それまで主食として食べていた穀物類なのですが、中でもパンやパスタはほとんど口にしなくなりましたね。そこで思ったんです。実は、小麦粉製品が花粉症の原因だったのではないのだろうか?

これらの違和感や疑問点を解消する目的で、令和5年6月に糖質制限から独自ルールでの食養切り替えたわけです。

花粉症は治ります!

私は二十代前半の頃から咳の発作や花粉症等のアレルギー症状に悩まされてきました。当初は医者から咳止めの強い薬を処方してもらい飲んでいましたが、一向に治る気配もなく、薬を常用し続けることに違和感を感じていました。ちょうどその頃出会った森下敬一著「クスリをいっさい使わないで病気を治す本」を通して自然食療法を知り、本を頼りに自己流で玄米菜食をゆるく実践していくと同時に薬の使用を止めました。

 

すると徐々に体質が変わってきたようで、アレルギー症状がかなり緩和され、正しい方向に向かっているという手応えを感じました。その後はマクロビオティック甲田式生食療法断食療法等の自然系食事療法を組み合わせて自己流で緩く長く続けていきました。けっこうな期間はかかりましたが、30歳になる頃には咳の発作はほぼ完全になくなりました。

 

ただ花粉症についてだけは、症状がかなり緩和されたとはいえ、毎年春先の一時期はどうしてもくしゃみ鼻水の症状がひどく出ていたので、仕事に支障がないように、市販の抗ヒスタミン薬だけは症状がある時に限って飲んでいました。仕事や人と会う用事さえなければ、たとえ症状があっても薬は飲みません。ここ20年で私が飲んだ西洋薬はこの抗ヒスタミン薬くらいです。

 

6年ほど前の職場の健康診断で糖代謝がC判定だったのを機に、昼食を中心に緩めの糖質制限食(ロカボ食)を始めました。市販の甘い飲料は一切止め、それまで昼休みに食べていた弁当の類から、スーパーで売っている「サラダボックス+惣菜」に変えました。炭水化物系の主食は口にしないようにし、一食の糖質量を20~40g以下に抑えるというものです。肉や魚を生野菜で食べるといったイメージの食事です。夜は家で普通に食事(基本、主食は玄米です)をしていました。

 

始めてみると、全くつらくもなく、体調や体感もよくなってきました。体重は数キロ減り、それが持続して今でも安定しています。また、健康診断で血糖値がひっかからなくなり、そして何と言っても、長年春先に飲み続けていた花粉症の薬を飲む必要がなくなったことが最大の収穫です。

 

糖質制限で花粉症が良くなるなんて全く思ってもいなかったのですが、実際、ここ数年間は全く抗ヒスタミン薬を飲んでいません。

 

今年はまだ花粉症シーズンの最中ですが、今のところ、なんとなく鼻奥で花粉の気配を感じることは時々ありますが、せいぜい鼻をかめば済む程度です。今まで完全には治らなかった花粉症から、50代半ばにしてとうとう解放されたので、本当に予期せぬ嬉しい変化です。

 

ただ、単に血糖値が下がったから花粉症が治ったのだとは思っていません。糖質制限食(ロカボ食)を実践する中で、取り込まなくなった小麦粉(小麦粉製品)が実は大きいのではないかと思っています。

 

(注:今では糖質制限のみの食養は既に卒業しており、令和5年6月からは独自のルールで食養していました)

調べてみると安い小麦粉(小麦粉製品)にはいろいろ問題がありそうなので